17.2. 動物多様性の起源
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動物とは何か
動物 animal
真核、多細胞で、栄養物を摂取することによって獲得する従属栄養生物
この栄養様式により植物などと区別される
食べ物を体外で消化してから吸収する菌類とも区別される
動物の細胞は細胞壁を失っている
多くの運動は、運動のための筋肉細胞と、筋肉を支配する神経細胞を持っている
複雑な体制をもつ℃物では、筋肉系と神経系は食べること以外にも多くの機能を持っていて、酒によっては神経細胞の大規模なネットワークを備えていて、それを用いて物事を考えている
ほとんどの動物は二倍体で、有性生殖をし、一倍体は卵と精子だけ
ヒトデの生活環には、ほとんどの動物の生活環の基本的な段階が含まれている
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1) 雌雄の生体が減数分裂によって一倍体の配偶子をつくり,
2) 卵と精子が合体して接合子をつくり,
3) 接合子は有糸分裂によって,
4) 胞胚 blastulaとよばれる初期胚になる
胞胚は普通、細胞が中空の球状に配列する
5) ほとんどの動物では胞胚の一方だけが内側にたたみこまれ、原腸胚 gastrulaという段階になる
6) 原腸胚は発達して、1ヶ所に開口部をもつ2層の壁でできた袋状の胚になる
多くの動物では原腸胚から直接生体へ発達するが,
7) ヒトデなどの動物では、生体とは異なる形の未成熟な個体である幼生 larvaになる
たとえば、おたまじゃくしはカエルの幼生
8) 幼生は、変態 metamorphosisとよばれる大きな体の変化を経て、有性生殖が可能な生体になる
初期の動物とカンブリアの爆発
動物はたぶん、10億年ほど前の先カンブリア時代の海にすんでいた、群体状で鞭毛をもつ原生生物から進化したと思われる
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先カンブリア時代の終わりに近い6億から7億年前には動物の多様性は、ある程度進化していた
カンブリア紀の初期である5億4200万年前、動物は急速に多様化した
カンブリアの爆発(カンブリア大爆発)
わずか1500万年の間に、我々が現在目にする動物の主要なボディプランのすべてが進化した
カンブリア紀の動物は奇怪な形をしているが、これらの化石が古い形ではあれ、現在の動物門のどれに分類されるかについて、大多数の動物学者の意見は今では一致している
なぜこの時期に動物の形態の進化が劇的に加速されたのか
仮説の1つは捕食-被食の関係が複雑さをましたことが摂食、運動性、防御に関する多様な適応を生み出したとする
この仮説は、先カンブリア時代の動物のほとんどが柔らかい体であるのに対して、大部分のカンブリア紀の動物が殻や硬い外骨格を持っていたという事実を説明する助けになる
もう1つの仮説は動物の形の発生(たとえば胚での体の部分の配置)を支配する遺伝子の進化に注目する
エボデボ(evo-devo)は生物学研究のなかできわめて活発な分野である
さまざまな動物門で、少なくともいくつかの「主要調節」遺伝子が発生に関して重要な働きをしている
これらの遺伝子の情報が胚の中で、いつどこでどのように発現するかによって、動物門ごとに特徴的な形態の違いを生み出している
カンブリア紀初期の動物の急速な多様化には、このような遺伝子発現の変化が原因の一部であるかもしれない
その後の5億年間に起こった動物の進化は、大まかに言えば、カンブリア紀の海で生じた動物の形態に単に変化を生じさせたにすぎない
研究を続けることによって、カンブリアの爆発についての仮説をさらに検証することができるだろう
動物の系統
古くから生物学者は動物を「ボディプラン」に基づいて種類分けしてきた
体の構造の一般的特徴
異なるボディプランを識別することは、動物グループ間の進化的関係を推論するのに役立った
細菌では遺伝学的データが豊富になったことによって、進化生物学者によるグループ分けの修正と精密化が可能になった
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動物の進化で1つの大きな分岐点は、構造の複雑さに基づいた、海綿動物と他の動物との区別
カイメン類は真の組織、すなわちある機能を担う同型の細胞の集団(たとえば神経組織のような)を欠いている
第二の主要な進化的枝分かれは体の対称性、放射相称と左右相称の違いに基づいている
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放射相称 radial symmetry
中心軸の周りはどこでも同形
左右対称 bilateral symmetry
等しく半分に分ける方法は中心線で分けるしかない
左右対称の動物ははっきりとした「頭端」をもち、頭端は動くとき、餌、危険などの刺激に最初に出会う
ほとんどの左右相称動物では、頭端に脳という形の神経中心があり、その近くに眼などの感覚器官が集中している
このように、左右対称は、這う、穴を掘る、泳ぐなどの運動に役立つ適応
事実、放射相称の動物の多くは固着性であるのに、ほとんどの左右相称動物は運動する
体腔の進化も動物を複雑にする助けになった
体腔 body cavity
体の外壁と消化管とを隔てる、液体を満たしたスペース
体腔は内部の器官が外壁とは独立に成長したり運動したりすることを可能にし、体腔液はクッションとして内部器官を傷害から守る
ミミズのように体の柔らかい動物では、体腔液には圧力があって流体静力学的骨格として機能する
図17.5では海綿動物、刺胞動物、扁形動物だけが体腔を持たない
体腔を持つ動物の中でも、体腔の発達の仕方には違いがある
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どの場合も、原腸胚の内層(内胚葉)と外層(外胚葉)の間に発達する
中胚葉とよばれる中間層の組織によって体腔は少なくとも部分的に裏打ちされる
擬体腔 pseudocoelom
体腔が中胚葉由来の組織で完全に裏打ちされない
本章で取り上げる動物門では線形動物だけが擬体腔をもつ
体腔 coelom
中胚葉由来の組織によって完全に裏打ちされている
ヒトや多くの動物
→17.3. 無脊椎動物の主な門